歳時記 菜種梅雨
2006年 04月 11日
せっかく桜も咲き、春がきたと思っても
三寒四温というように、春先は気温の差が激しく
ついつい体調を崩す人も多い。
なかなか冬の暖房器具を手放せないのも事実だ。
こういう時期や気候のことを
日本語ではこう称す。 菜種梅雨
まるで
菜の花の甘い香りが雨とともに空から漂ってきそうなネーミングだ。
3月下旬から4月上旬にかけて、菜の花
別名 、菜種の咲いている時期に降り続く雨のことを
「菜種梅雨」と称する。
菜の花をはじめ色々な花を催す、咲かせるという意味があり、
催花雨(さいかう)という別名もある。
別の説として「菜花雨」(菜種の花の雨)から「菜種梅雨」になったという話も。
同じ時期の雨表現で、春雨というのもある。
春雨は、同じ時期の優しい雨のことをさす場合が多い。
しとしとと降る暖かい気温の雨は春雨で
菜種梅雨は、ちょっと強めの刻みよい雨をさすのだろうか。
春から夏にかけては、植物にとって
成長を促す大切な雨が降ることから
雨に植物の名前が付いているものが多い。
コンクリートに囲まれた箱のなかで、モルモットのように生活する現代。
自然の流れとともに生活が動いていた昔に創り出された言葉で
色褪せたコンクリート世界の現実生活のなか
季節の移り変わりを感じてみる風情もなかなか悪くない。
「菜種梅雨」の季節が終わると
5月初旬は「たけのこ梅雨」。
たけのこの煮付けやお吸い物が各家々のお台所から香りそうな……
5月中旬からは「卯の花くたし」。
そして梅の実の熟す時期には「梅雨」となる。
日本語には色気ある世界がたゆまなく受け継がれている。
※昔は旧暦で言葉が作られているので、現在の旬のものの時期とずれているのはしかたない。
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by irokeseikatu
| 2006-04-11 08:11
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